抹茶スイーツが嫌い|抹茶シュークリームがまずいと思う人におすすめのスイーツ
「シュークリームは大好きなのに、抹茶シュークリームだけはまずい、粉っぽい・えぐい・重い」と感じる人は少なくありません。
この記事では、その理由を食品科学の観点から整理しつつ、抹茶シューの弱点を“構造的に回避”した代替シュークリームを紹介します。
「シュークリームは好きなのに、抹茶シューだけは粉っぽい・えぐい」と感じる違和感には、食品科学的な根拠があります。
まず、抹茶に多く含まれるカテキン類(EGCG など)は、緑茶の
苦味・渋味の主成分であり、濃度が上がるほど苦味と渋味が強くなり嗜好性が低下することが報告されています
(Narukawa et al., 2010, International Journal of Food Science & Technology /
Narukawa et al., 2011, Biochemical and Biophysical Research Communications)。
さらに、緑茶や抹茶飲料では、貯蔵中に揮発性香気成分が減少し、香りプロファイルが劣化することが示されており
(例:Katsuno et al., 2014, Food Chemistry;Li et al., 2024, Foods)、
「香りが飛んで苦味だけが目立つ」状態になりやすいことが裏づけられています。
また、抹茶などの粉末茶の粒径や分散性は食感に大きく影響し、
粒径が大きいと分散性が悪くざらついた口当たりになり、微粉砕によって滑らかな食感になることが報告されています
(粉末緑茶の微粉砕条件と官能評価を扱った食品科学系の研究報告など)。
実務的な技術情報でも、マッチャ粉末は粒径を10〜15 µm 程度まで細かくすることで、
舌触りが滑らかになり「粉っぽさ」が低減するとされています。
さらに、乳飲料モデルではカテキンを加えると苦味・渋味が増すケースも報告されており、
カテキンと乳脂肪・乳タンパク質の相互作用が味の感じ方を変化させることが示されています。
こうした知見を踏まえると、抹茶シューで感じる「粉っぽさ・えぐ味・重さ」は、
カテキン(強い苦味・渋味) × 乳脂肪・卵黄タンパク質 × 粉末抹茶の粒径・分散性 × 冷蔵保存中の香気劣化
が組み合わさった“構造的な問題”として説明できます。
本記事では、この科学的背景を整理したうえで、抹茶を使わず香り主体で楽しめるプレーン〜バニラ系のシュークリームや、
同じ構造的弱点を避けた代替スイーツを提案します。
なぜ「抹茶シュークリーム」がまずく感じられやすいのか?
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クリーム側に抹茶粉が偏り、味のバランスが崩れやすい
抹茶クリームは香ばしいシュー生地よりも内側に味が集中しやすく、「中だけ濃くて重い」印象になります。 -
粉体抹茶 × デンプンゲルの相互作用で“粉っぽさ”が出る
カスタードに含まれるデンプンゲルと、抹茶粉の固体粒子が十分に分散していないと、
チョークのようなザラつき・粉感として知覚されます(粉末茶の粒径と食感の関係を示す食品科学系の報告と整合的)。 -
抹茶香気成分が揮発しやすく、香りが飛んで苦味だけ残る
抹茶の青葉・海苔様の香りは揮発性が高く、ショーケース保存中に弱まり、
苦味・渋味をマスキングしていた香りだけが先に失われやすくなります
(緑茶飲料の貯蔵で香気成分が減少する報告:Katsuno et al., 2014;Li et al., 2024)。 -
乳脂肪とカテキンの相互作用で“苦味スパイク”が強調されることがある
カテキンはもともと強い苦味・渋味を持ち、乳成分との相互作用で味の感じ方が変化します。
条件によっては苦味や渋味が目立ってしまう組み合わせになり得ることが、茶カテキンの味質評価研究から示唆されています
(Narukawa et al., 2010, 2011)。
抹茶シューが苦手な人に「プレーン〜バニラ系シュー」をおすすめする科学的根拠
① カテキン(渋味成分)が存在しない
バニラ・ミルク主体のシュークリームはカテキンを含まず、抹茶特有の強い苦味・渋味スパイクが発生しません。
茶カテキンの濃度が高まるほど苦味・渋味が強くなり、嗜好性が低下することは
Narukawa らによる緑茶カテキンの味質評価研究でも示されています(Narukawa et al., 2010, 2011)。
② 粉体フレーバーを使わない → 粉っぽさゼロ
プレーンカスタードは粉末茶を混ぜないため、デンプンゲルと粉体がぶつかるようなチョーク感が出にくく、
舌触りが滑らかになりやすい構造です。
粉末緑茶・抹茶では、粒径を微細化することでざらつきが低減し、テクスチャー評価が改善することが報告されており、
「そもそも粉体を入れない」プレーンシューはこの点で構造的な優位性があります。
③ バニラ香気は乳脂肪と相乗して不快味を残さない
バニリン系の香気は乳脂肪との相性が良く、香りがやや弱くなっても「青臭さだけ残る」といった不快な後味になりにくいのが特徴です。
一方で、茶系飲料では貯蔵中に香気が劣化し、苦味・渋味が相対的に目立つことが報告されており
(Katsuno et al., 2014;Li et al., 2024)、
バニラ主体のシューはそのリスクから自由であると言えます。
④ 香りが劣化しても味のバランスが崩れにくい
抹茶と違い、バニラやミルク香は揮発しても苦味成分が突出せず、全体の味の印象が比較的安定します。
緑茶飲料の貯蔵では、香気成分の減少とともに「陳腐臭」やバランスの崩れが生じることが知られていますが
(Katsuno et al., 2014 など)、
カテキンを含まないバニラシューでは、香りが少し弱まっても致命的な味バランスの崩壊にはつながりにくく、
冷蔵・冷凍流通との相性も良いスタイルと言えます。
抹茶シュークリームがまずいと思う人におすすめの代替えシュークリーム5選
以下は、抹茶シュークリームの弱点
(カテキン・粉体・香りの劣化・渋味スパイク)
をすべて回避した “食品科学的に矛盾のない代替シュー” です。
① とかち純白ゆり根シュークリーム
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ゆり根の自然な甘味 × カスタードが相性抜群。
カテキンを含まず、粉体抹茶も使わないため、抹茶シューで起こりやすい「粉っぽい・えぐい」を構造的に回避できます。
② 朝霧高原シュークリーム(藤太郎)
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濃厚バニラカスタードで、乳脂肪と香りの相性が非常に安定。
抹茶のようなカテキン由来の渋味がないため、「シュー生地の香ばしさ+ミルクの甘さ」に集中して味わえます。
③ 銀座千疋屋 プレミアムシューアイス(バニラ)
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アイス形態は香りの揮発が抑えられ、味が安定しやすいのが利点。
「抹茶の香りだけ飛んで苦味が残る」という問題を、形態そのものの違いで完全に回避できます。
④ 小岩井農場 シュークリーム
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卵とミルクの自然な甘味が主体で、カテキンや粉末茶を含まず、後味が非常に軽いバニラシュー。
「とにかくシンプルなシュークリームでリセットしたい」という人に向いています。
⑤ 北海道シュークリーム(お菓子のふじい)
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「抹茶の重さだけが無理」という人には、
北海道ふじいのシューがとても相性が良いです。
ミルクとバニラの香りが主体で、抹茶シューのような粉っぽさや青臭さが出ません。
まとめ|抹茶シュークリームがまずいと感じたら「粉体とカテキン」から距離を取る
抹茶シュークリームが粉っぽい・えぐい・重いと感じる背景には、カテキンの強い苦味・渋味と、
粉末抹茶の粒径・分散性・香りの劣化が関わっています。
「抹茶は好きだけど抹茶スイーツが苦手」という人は、カテキンと粉体を使わない
プレーン〜バニラ系のシュークリームや、香り主体で楽しめる
アイスシュー・ゆり根シューなどを選ぶことで、構造的にストレス要因を避けることができます。
同じ「シュークリーム」でも、原料と構造を選べば、抹茶シューとはまったく別物の満足感が得られます。
参考文献
- Narukawa, M. et al. (2010). Taste characterisation of green tea catechins and their contribution to the taste of green tea infusion. International Journal of Food Science & Technology.
- Narukawa, M. et al. (2011). Functional expression of human bitter taste receptors to evaluate the contribution of (−)-epigallocatechin gallate to bitterness. Biochemical and Biophysical Research Communications.
- Katsuno, T. et al. (2014). Changes in odorants and sensory properties of green tea beverage during storage. Food Chemistry.
- Li, X. et al. (2024). Study on aroma deterioration and flavor changes of ready-to-drink green tea beverages during storage. Foods.
- 各種粉末緑茶・抹茶の微粉砕条件と官能評価に関する食品科学系論文(粒径の微細化によるざらつき低減・テクスチャー改善を報告したもの)。





