抹茶チョコが嫌いな人におすすめな高級チョコ
「抹茶は好きだけど、抹茶味のスイーツや抹茶チョコはまずい・えぐい」と感じる人に向けて、
なぜ抹茶チョコはまずいのか? その理由を食品科学の視点から整理しつつ、
代わりに選びたい高級チョコレートを紹介します。
なぜ抹茶スイーツの抹茶チョコがまずく感じられやすいのか
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苦味+渋味の相乗効果
カカオポリフェノール由来の苦味と、抹茶に多いカテキン由来の渋味(収れん感)が重なることで、
舌と口腔内の刺激が強くなり、「えぐい」「口がキシキシする」と感じやすくなります。
(Charlton, 2002 / Food Chemistry) -
ココアバターが抹茶の香りをマスキング
チョコレートに含まれるココアバターは疎水性が高く、抹茶の香気成分を脂肪相に取り込みやすいため、
開封直後の「抹茶っぽい香り」に対して、口に入れたあと香りが弱く感じられることがあります。
期待より香りが立たないと「香りだけ抹茶っぽくて中身が伴わない」という違和感につながります。
(Ziegleder, 1990 / European Food Research and Technology) -
加熱・保存による抹茶成分の劣化
チョコレート製造工程や流通の温度管理によって、抹茶中のカテキンがエピメリ化したり、
クロロフィルがフェオフィチン化すると、苦味・渋味が強調されたり、草臭いオフフレーバーが生じることがあります。
(Wang, 2000 / Journal of Agricultural and Food Chemistry) -
香料・着色料による「ニセの抹茶感」
本物の抹茶をふんだんに使うとコストが高いため、実際には香料と緑色の着色料で「抹茶らしさ」を演出している製品もあります。
その場合、抹茶を日頃から飲む人ほど「風味が軽いのに匂いだけ強くて気持ち悪い」とギャップを感じやすくなります。
(Delwiche, 2004 / Food Quality and Preference) -
色からくる期待値と実際の味のズレ
濃い緑色のチョコを見ると「濃厚な抹茶の旨味」を期待しやすいものの、
実際の味がホワイトチョコ由来の甘味主体だと期待と実感が一致せず失望感を生みます。
こうした視覚と味覚の不一致が「なんかまずい」といった感覚に直結しやすいことが報告されています。
(Spence, 2015 / Flavour)
つまり、「抹茶チョコが嫌い」という感覚は、抹茶そのものよりも
「カカオ・油脂・香料・色」など設計のミスマッチが生み出しているケースが多いと整理できます。
なお、「抹茶チョコではなく無添加の和菓子(栗きんとん)を試したい」人向けのガイドは
こちらの特集で詳しく解説しています。
抹茶チョコが嫌いな人におすすめの高級チョコレート5選
「抹茶チョコのえぐさや人工的な風味が苦手」という人には、
カカオの香りやガナッシュの口どけで勝負しているブランドを選ぶのが得策です。
ここでは百貨店テナントにも入っているブランドを中心に、
抹茶不使用の代表的なボンボンショコラ・アソートをピックアップします。
① ピエール マルコリーニ
ベルギーのカカオにこだわる高級ショコラティエ。焙煎・ブレンド・ガナッシュの温度管理まで自社一貫で行うスタイルで、
「純粋にカカオを楽しみたい人」におすすめ。
抹茶フレーバーではなく、カカオの香りを主役にした定番アソートを選べば、
抹茶チョコ特有のえぐさからは完全に距離を置けます。
② メゾン・デュ・ショコラ
パリ発の老舗ショコラ専門店。なめらかなガナッシュと薄いコーティングによる繊細な口どけが魅力です。
抹茶ではなくプラリネ・キャラメル・ナッツ系のフレーバーを選ぶと、
香料感の少ない自然な味わいを楽しめます。
③ ヴィタメール|ショコラ・ド・ヴィタメール 9個入
ベルギー・ブリュッセル発祥の老舗パティスリー。
重厚感のあるカカオとガナッシュの層構成が魅力で、甘さよりもショコラのコクを楽しみたい人に向いたアソートです。
抹茶チョコの人工的な香りが苦手な人でも、クラシックなボンボンショコラなら違和感なく楽しめます。
④ レオニダス|ナポリタンアソートチョコレート
「日常的に楽しめるベルギーチョコ」として親しまれているレオニダス。
個包装のナポリタンアソートは、ほどよい厚みとシンプルな配合で香料感が控えめなのがポイントです。
抹茶チョコのえぐさは苦手だけれど、ミルクやビターの板チョコ系は好き、という人にぴったりの一箱です。
⑤ デメル|ソリッドチョコ猫ラベル
ウィーン王宮御用達として知られる老舗ブランド。
猫の舌を模した「ソリッドチョコ猫ラベル」やトリュフなど、
カカオと砂糖・乳成分のバランスがよく、強い香料感が少ないため、
抹茶チョコが苦手な人にも受け入れられやすいラインナップです。
抹茶は好き、でも“抹茶チョコ”は苦手な人へ
「香料っぽさやえぐ味が気になる」「もっと自然な甘さで楽しみたい」なら、無添加の和菓子・栗きんとんを試すのがおすすめです。
抹茶の渋みを壊さない“栗と砂糖だけ”の設計で、後味が軽やか。贈り物にも最適です。
まとめ:抹茶チョコが嫌いなら「抹茶抜きの高級チョコ」に路線変更を
抹茶チョコがまずく感じられる背景には、
カカオの苦味・抹茶の渋味・油脂・香料・色など、複数の要因が重なった
フレーバーデザイン上の問題が大きく関わっています。
抹茶そのものを嫌いになる必要はなく、むしろ抹茶は抹茶だけで楽しみ、チョコはカカオで楽しむという切り分けをすると、
味覚ストレスを減らしながらスイーツを楽しめます。
代わりに選ぶべきなのは、今回紹介したような
ピエール マルコリーニ/メゾン・デュ・ショコラ/ヴィタメール/レオニダス/デメル
など、カカオとガナッシュの完成度で勝負しているブランドのチョコレートです。
「抹茶チョコは無理だった」という人こそ、一度抹茶抜きの高級チョコレートを試してみる価値があります。
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参考文献・資料
- 武田 雅哉『チョコレートの科学とおいしさの秘密』化学同人.
- Charlton, A. J. et al. (2002). Polyphenol interactions with salivary proteins and their effects on astringency. Food Chemistry.
- Ziegleder, G. (1990). Composition of flavor extracts of cocoa and chocolate. European Food Research and Technology.
- Wang, H. et al. (2000). Effects of heat on catechins and chlorophylls in tea. Journal of Agricultural and Food Chemistry.
- Delwiche, J. (2004). The impact of color on flavor perception. Food Quality and Preference.
- Spence, C. (2015). Multisensory flavor perception and expectations. Flavour.
※引用時は各書誌情報・版・ページを必ずご確認ください。
もっと知りたい人へ:味覚・香り・食品科学のおすすめ書籍
『おいしさの科学:味覚・嗅覚・食感のメカニズム』講談社ブルーバックス
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甘味・苦味・香り・食感といった要素がどのように組み合わさって「おいしい/まずい」を作るのかを、
分かりやすく解説した一般向けの科学解説書です。抹茶チョコの違和感の仕組みを理解するうえでも役立ちます。





